「季節の生きもの観察手帖」発刊記念トークショー
八重洲ブックセンター イベント
2017年7月13日
演者:唐沢孝一(自然観察大学学長)
主催:八重洲ブックセンター
協力:全国農村教育協会
4月の発刊以来ご好評いただいている「季節の生きもの観察手帖」(企画・編集:自然観察大学)
その発刊記念として、本手帖の編集委員長でもあった唐沢孝一学長のトークショー&サイン会がありました。
八重洲ブックセンター8階の会場はおかげさまでほぼ満席。平日の夜19時開演という、唐沢先生にとってはちょっと苦手(?)な時間帯でしたが、いつもの絶妙なトークで、おおいに盛り上がりました。
内容のほんの一部を紹介させていただきます。
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●二十四節気・七十二候と自然観察
二十四節気は15日単位、七十二候は5日単位(多少前後します)。この暦が絶妙です。
一週間単位では開花など自然界の動きについていけないことがありますが、5日単位が日々の生活のリズムにとっても、農作業などにとっても、ちょうどよい按配だったようです。
「生物が知らせてくれる季節」というのも心地よいものです。
そして、各節気の見開きページのデザインの素晴らしさが光ります。いろんな人から、「この本、綺麗ね」とほめられると、やはり嬉しいですね。
●自然観察大学の多彩な講師陣
今年(2017年)の水元公園の観察会のワンシーンを紹介しましょう。
まず、植え込みの植物上でテントウムシを観察します。どこにでもいるナミテントウ、ナナホシテントウですが、幼虫・蛹・成虫、餌となるアブラムシとの関係を山崎先生と観察します。
すぐそばでは、イネ科雑草の花を観察しています。小さい花ですが、岩瀬先生を中心にルーペを使って観察します。
そうこうしているとクサグモが現れて、今度は浅間先生の出番です。次は蜂の田仲先生、さらに鳥や樹木と… みなその分野で立派な書籍を出版した専門家たちです。(【講師紹介】
自然観察大学では、十人十色の講師陣が、異なる視点で自然・生物を観察します。
この視点と長年にわたる観察の蓄積とがあってはじめて「季節の生きもの観察手帖」ができたといえるでしょう。
●膨大な蓄積から凝縮された情報
ホソミオツネントンボの話をしましょう。
細身で、成虫で越年するトンボなので、この名があります。この生態を詳しく観察したことがあります。越冬場所の雑木林に通って、ホソミオツネントンボを探し(これが慣れないと見つけにくい!)、その数をカウントする。また、いつまで雑木林にとどまり、いつごろ水辺で産卵するのか… 晩秋から翌春まで調べてみました。1頭ごとにマーキングしての追跡調査もしてみました。これが面白くて、5年ほど雑木林に通いました。我ながらよくやったと思います。
この膨大なデータの蓄積が、本手帖の1/17の欄に、次のようにわずか一行。写真2点です。
いかに凝縮された情報であるか、お分かりいただけると思います。
●まとめ
自然観察では次のことがたいせつだと考えています。
目のつけどころ(視点)
幅広い分野を見る
観察したことの記録
「季節の生きもの観察手帖」は、自然観察大学の長年の活動あればこそできたのだと思います。
この手帖が広く活用いただけるとうれしいですね。
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講演終了後はサイン会でした。
このイベントでは、本手帖の販売もありました。八重洲ブックセンターの主催ですから当然です。
当日購入の有無にかかわらず参加OK、しかもすでに購入済の方も多かったのですが、10冊くらい購入いただいた由です。ありがとうございました。
レポート:事務局O

※「季節の生きもの観察手帖」については次で詳しく紹介させていただいています。
自然観察大学【本の紹介】http://www.sizenkansatu.jp/index_11.html
自然観察大学【出版のお知らせ】http://www.sizenkansatu.jp/pbl/index_tcho.html