日比谷公園で雑草のくらしを観察しよう
丸の内さえずり館フィールドイベント
講師:岩瀬 徹(自然観察大学名誉学長)
主催:自然環境情報ひろば −丸の内さえずり館−
協力:NPO法人自然観察大学
2012年10月11日(木)に、丸の内さえずり館が主催するフィールドイベントが開催されました。自然観察大学から岩瀬先生が講師として協力させていただきました。その一部を報告させていただきます。
雑草は踏みつけや刈り取り、耕作などの人の作用を受けながらくらしています。
人との関わりがもっとも深い植物が雑草であり、逆に人がいないところには雑草もないと言えます。
草刈りや除草、踏みつけ、土の入れ替えなどに適応して生育するのが雑草ですが、よく観察すると、そこには自然のしくみがあります。
植え込みの下ですが、ここにはいろんなロゼットがありますね。
ロゼットは本来、地表近くで越冬時などに芽を守る形なのだと思われますが、草刈りから逃れる形でもありますね。
ここではウラジロチチコグサ、ハルジオン、タンポポなどのロゼットが目立ちます。
こちらではギシギシの仲間のエゾノギシギシが多いようです。
ギシギシ類は地上部が枯れてなくなりますが、地下の根が残って、年々大きな株に成長します。ここでは管理が行き届いていて大きな株にはなれないようですが…
ロゼットは草刈りには強い反面、人手が入らないとほかの植物に覆われて成長できないという弱味があります。
カヤツリグサ科の植物は茎が三角で、葉も三方向に開きます。花は地味ですがルーペで拡大すると雄しべと雌しべが確認できます。
これはハマスゲですが、地下茎を伸ばして増えるので、やっかいな雑草とされています。別名でコウブシ(香付子)ともいって、塊茎に香りがあって薬用にもされるようです。
上のように踏まれないところでは数十センチの草丈になりますが、右のようなところでも姿を変えて、ちゃんと穂をつけてがんばっています。
「形とくらしの雑草図鑑」
(全国農村教育協会、岩瀬徹)
より
イノコズチは実がひっつくことで知っている人が多いと思います。この仲間にはヒカゲイノコズチとヒナタイノコズチがあり、茎の毛や果実の附属体で見分けますが、これはどちらでしょうか…
ルーペで花を拡大して観ると、星型の整った形をしているのがわかります。花弁はなく、花びらに見えるのはがくです。
公園の広場では、踏みつけに強い雑草が観察できます。
ここにはオオバコ、チドメグサ、オヒシバが目立ちますね。
オオバコの葉を引いてちぎると、なかから筋が出てきます。この筋は維管束で、こうしてみると踏みつけに強いのが納得できますね。
「雑草博士入門」
(全国農村教育協会、岩瀬徹ほか)
より
この広場では数日前まで大がかりなイベントがあり、雑草たちは施設の下敷きになっていました。
そのなかから、オオバコが新たな芽を出しています。さすがです。
日比谷公園という都心でも、たのしく自然観察ができました。やっぱりT雑草は人と関わりが深いUということですね。
参加いただいたみなさんは熱心な雑草ファンらしく、岩瀬先生の著書「雑草博士入門」「形とくらしの雑草図鑑」「校庭の雑草」などを持参した方が多いので驚きました。
終了後には岩瀬先生もTよい観察会ができたと思いますUと満足そうでした。
参加いただいたみなさん、丸の内さえずり館のスタッフのみなさん、ありがとうございました。

「自然環境情報ひろば-丸の内さえずり館」では、多彩なイベントを実施しています。
観察会などの参加者募集については、丸の内さえずり館の情報をチェックしてください。 メールマガジンに登録すると、最新情報をいち早くご確認いただけます。
丸の内さえずり館ホームページhttp://www.m-nature.info/event/
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丸の内さえずり館ではイベント以外に楽しい展示もあります。JR有楽町駅からすぐなので、お気軽にどうぞ。

なお、さえずり館からの希望で、募集に際し自然観察大学内での案内を控えています。自然観察大学のみなさんのT観察会ジャックU状態になるのを避けるためです。ご了承ください。
報告:事務局O