千葉県いきもの
かんさつガイド

−千葉県生物学会70周年記念−


千葉県生物学会/編集発行
たけしま出版/発売
2018年2月18日発行
A5判、128ページ
本体1,000円+税
この本の製作目的は、まえがきの「生徒のため」と「大人のため」とに別々に書かれている。
「生徒のためのまえがき」では、住んでいる周りにはいろいろな生きものがいることを知って、彼らと友達になろう。そして大切にしていこうと。
「大人のためのまえがき」では、千葉県を支えているのは、環境と生物生産で、その礎が生物多様性にあるとして、大人達が子供たちと伴に守っていこうと。
本書は、千葉県生物学会が創立70周年を記念して、学会員が千葉県のいきものについて、まとめたものである。
千葉県生物学会は植物生態学者故沼田眞氏の発案で発足した会で、千葉県内の生物に興味を持つ方々の集まりである。会員は大学や小・中・高の生物の教員、会社員、自営業、学生など多様である。生物の生き様を観察することが、学会主催の野外例会で取り上げられている。
本書の特徴は、写真やイラストを多くして、より一層生きものに興味が持てるようにしていることだ。
小学生の高学年の生徒でも読めるように、難しい漢字にはふりがなを振り、平易な言い回しになっている。専門用語はなるべく減らし、必要な場合は欄外に解説を設けている。
コンパクトで野外に気軽に持ち歩けるように配慮されている。親子や孫と野外にこの本を持参して、生きものを楽しく観察ができるだろう。
また、生きものに興味を持たれる方には、各分野の専門家による本格的な内容が満足いただけるだろう。
大人も子供も野外に出て生物に接するのがワクワクしてくる本である。
身の回りの生きものについてだけにとどまらず、千葉県内で見つかった貴重な生物についても写真入りで触れ、保護の大切さを理解する上に役立つようにできている。
…………… 本の構成 ……………
第1章 千葉県の環境と生きもの
房総の山、渓谷、谷津、湿地、市街地、海辺 …などの環境ごとに、そこに生活する生きものの姿を写真とイラストをまじえて説明している。貴重な生物の写真も掲載されている。
第2章 植物を観察しよう
ヒメコマツの実体と保護保全活動、ヤドリギの生態、シダの不思議、コケの生育によって土や岩の性質がわかる、三方を海に囲まれている千葉県の海岸に見られる海藻の生態、急速に分布を拡げている帰化植物、銚子から見つかる白亜紀の植物化石 …など幅広く扱われている。
第3章 動物を観察しよう
身の回りにいる哺乳動物、人の生活環境に適応した都市鳥、ニホンイシガメの危機、ヌマガエルの分布拡大、アカハライモリとトウキョウサンショウウオの生育環境の減少、トビハゼの生態、千葉県で発見された甲虫、いろいろなイトトンボ、ルーミスシジミとオオムラサキの生態、アリに目を向ける、ヤノクチナガオオアブラムシについて、四角の網を張るキヌアシナガグモ、ナメクジとカタツムリ、貝類、動物プランクトン …など多岐にわたってトピックス的に扱われている。
第4章 自然観察スポット
関宿城博物館周辺、21世紀の森と広場、手賀沼、三番瀬と谷津干潟、銚子、龍福寺の森、多古光湿地、泉自然公園、九十九里、小櫃川河口干潟、妙楽寺の森、清和県民の森、鋸山、清澄山、沖の島 …15か所を簡単な地図と豊富な写真で案内している。
自然観察大学講師 村田威夫
たけしま出版
〒277-0005 千葉県柏市柏762 柏グリーンハイツC204
TEL・FAX 04-7167-1381

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